課題
30年間続く赤字経営
埼玉県所沢市を本拠地としているパ・リーグのプロ野球球団「埼玉西武ライオンズ」は、福岡から所沢に移転して以来、約30年間赤字が続いていました。2004年近鉄・オリックス合併、球界再編問題を契機としたプロ野球初のストライキ、2005年東北楽天ゴールデンイーグルス新規参入を端緒としたパ・リーグ各球団の経営改革路線に、埼玉西武ライオンズとしても追随し財務体質を強化する必要がありました。
主な取り組み
数値管理、リソースの最適化、ファンのLTV向上施策などを実行
黒字化の実現に向けて組まれたプロジェクトに、全部署を横断的に見ることのできる経営企画のスタッフとして、また役割としてはリーダーをサポートとする立場として入りました。
セ・リーグと比較して放映権料収入が少ないパ・リーグの球団は入場料やスポンサー料が収入のメインとなります。ホームゲーム約70試合において全試合の試合別売上と利益を当日中に把握し次の試合での施策に活かすと共に、月次での予算/実績比較や総合的な数値管理を行いました。
対戦カードや開催日(平日か休日)などから入場者数を予想して、販売活動や試合運営に関わるリソースの割り当て配分を行いました。埼玉西武ライオンズの場合は、土日にリソースを割き、平日のリソースを抑えることで、全体での利益増加につながりました。
当時、入場チケットを購入できる場所が試合会場である西武ドームしかなかったため、球団として街中でも購入できるようグッズショップを増やし(リニューアル含め5店舗)、グッズやチケットを購入しやすいようにお客様との接点を増やしました。ファンクラブ入会や特典の受取場所としても機能したため、ファンクラブ会員に対する満足度向上にもつながりました。
また、プロジェクトチーム内では会員管理システムを使い顧客の来場頻度やチケットの購入金額を把握。Lポイントの付与率をランクに合わせて変更し、上位ランクの方にクローズドなイベント参加権を付与するなどキラーコンテンツを設けてCRM(Customer Relationship Management)を行い、LTV(Lifetime Value)向上につながるストーリーを構築しました。
ある程度の黒字化が見えて来たら、次の成長を目指すために特定の専門分野を持った人員の採用活動を行いました。媒体での告知を絞って実施したもののエントリー数は1,000人を超え、その中からインタビューを重ね、専門性を持った人材を10名弱採用しました。
ソリューション・実績
黒字化を実現
創業以来約30年間続いた赤字経営に終止符を打ち、単年度損益を黒字化することに貢献しました(2011年度)。以後、球団経営は黒字基調となっていると推測されるため、収支構造において体質改善に成功したと考えられます。