課題
2度の経営破綻と傷ついた信頼
1997年に発足した佐賀県鳥栖市のサッカークラブチーム「サガン鳥栖」は、過去に2度の経営破綻を経験していました。地元に根ざしたクラブチームは、行政や市民からも継続の強い希望がありましたが、混迷するクラブ経営に対して地域やサポーターは不信感を抱えていました。経営体制が一新されると同時に、赤字を食い止め黒字化すること、そして地域・サポーターの方々と新たに信頼関係を構築していくことが課題でした。
主な取り組み
黒字化を実現するために、地道に売上を積み上げ、費用を見直す
経営のトップである当時のサガン鳥栖社長は東京を拠点としていたため、日々のキャッシュフローの洗い出しやタイムリーな経営課題の提示など、社長の右腕として社長にとって遠隔からでも経営状況が把握できるよう努めました。その際、役職なしで業務統括部へ入ることで、既存スタッフと対等かつ同じ目線で立ち回れるよう配慮をいただきました。
営業マンには、スポンサー営業のない期間を利用して、表面に企業名・裏面に試合日程が入ったうちわを地元企業や飲食店へ営業販売を実施していただきました。このようなキャッシュポイントを増やす活動を見つけては地道に収益を増やしていきました。
また、当時は選手に提示していた報酬のベース金額が低く、その代わり良い選手が他のチームに取られないようにとインセンティブを多くつけていました。おかげでよく得点王が出ていましたが、どれだけ得点をとっても試合日数は変わりませんし、会社としての売上が増えることは限定的です。経営的観点から選手との契約について見直しを行いました
スポーツビジネスを成功に導くには、拠点を置いている地域との良好な関係が必要不可欠です。過去2度の経営破綻から傷ついた地域の方々や行政、スポンサーとの信頼関係の修復も大切な活動でした。様々なステークホルダーが絡む経営であるからこそ、お互いの事情を理解して落としどころを見つけるように、きちんと話し合いを重ねました。
ソリューション・実績
3年連続の赤字経営から黒字化を達成
スポンサー営業のない期間のアメニティグッズの売り上げが3,000万円を計上するなど、売上の増加やコスト削減の結果、僅かでしたが利益が出て3年連続の赤字を食い止め単年度黒字化を達成しました。